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あの日が何か特別だったかといわれると、そんなことはないと思う。


ただ・・・そう、いつもなら日があるうちに行くのに、あの日は夜中に行った。それくらいだろう。

ゴミ袋がないことに気が付いたのは、もう日付が変わろうかという時間になったときのことだった。


ちょうど明日出すゴミをまとめようとゴミ袋を探していたのだが、先週切らして買いに行こうと思っていたのを忘れ続けていたのだ。


明日の朝早くに買いに行ってもいいのだが、ちゃんと起床できる自信がない。できれば今夜中に出してゆっくり寝たい。


そういうわけで俺は夜中のコンビニへゴミ袋を買いに行ったのだ。


明日の朝ごはんもついでに買えばちょうどいいし、どうせ人も少ないだろうからさっといってさっと返ってこれるだろう。


車が多い道路沿いの道を歩きながら店へと向かったのだが、その日は珍しいことに車が一台も走らなかった。どこかで道路規制でもしているのだろうか?そんな話は聞いた覚えがなかったが・・・。


そうして辿り着いた店内は、意外なほどに込み合っていた。


時間帯も遅いし人は少ないだろうと思ったのだが、レジの前には列ができて雑誌コーナーで立ち読みしている人もいる。外が暗いことを除けば、昼間の様子とあまり変わらない。


けれどどこか様子がおかしく感じた。


確かに人は多くいるのだが、みんなどこか表情が暗い。口数も少なく、聞こえてくるのは店員の事務的な声だけだ。


時間帯も時間帯だしそんなものだろうかと思ったが、並んでいる客に家族連れが混ざっていることもおかしい。


ふつうこんな時間に小さい子供を連れてコンビニに来るのだろうか?
いや、今日は日曜だったから遠出の帰りなのかもしれないが。それにしても違和感が残る。手をつながれた子供は眠そうな様子もなく、何も喋らず、暗い表情をしている。


ねむくない子供なら何かしゃべりだしてもおかしくはないと思うのだが・・・。


店内の様子をじっと観察していると、後ろから来た人物がどん、と俺にぶつかった。


そういえば入り口近くに立っているんだった。ここにいると邪魔になるだろう、そう思ってゴミ袋が置いてあるコーナーまで移動することにした。


欲しいのは中型サイズのやつで・・・そうそう、これだ。


目的のものを見つけて手に取った時、背筋が凍えるような感覚がした。


まるで以上に手が冷たい人間に触られたときのような、そんな感覚だった。


それが気持ち悪くて、俺は手に取ったゴミ袋を棚に戻した。


店内の様子もおかしいし、商品だって何か変だ。


ここから離れた方がいい。


無性にそんな気持ちになって、俺は入ってきた入り口から外に出ようとした。


その時、何かに手をつかまれた。


驚いて掴まれた方向を見ると、そこにはさっき俺にぶつかった帽子をかぶり無精ひげを生やした男性がいた。


その男性は俺に、待てといった。


急にそんなことをされて怖かったが相手がそれ以上何も言わないので、なんですかと聞くと、男性はさっきまで俺が近くにいた棚を指さした。


こいつ、万引きする気だ。


男性は店内に響くような大声で叫んだ。それを聞いて、店の中にいた人間が一斉に俺を見た。


もちろんそんなことはしていない。だから違うといって捕まれた手を振りほどこうとしたのだが、男性の手が離れない。


違います、離してくださいと言いながら男性の手を引きはがそうとしたとき、ついさっき感じた感覚がした。あのごみ袋を触った時と同じ冷たさだった。


それに怖くなって俺は半狂乱になりながら店から出た。男性を突き飛ばすように引きはがし店から出て、一直線に家へと向かった。


震える手で鍵を開けて急いで中へと入り、ふとんの中に入って目をつむった。


そうやっておびえているうちに何事もなく夜は明けて気は抜けたのだが、朝目に入ったニュースを見て腰を抜かしてしまった。


事が起きたのは昨日の日曜日、どうやらあの夜行ったコンビニに車が衝突し、大事故が起きていたらしい。


店内にいた人はみんな死亡し、車を運転していたドライバーも死亡したとのことだ。店は到底人が入れる状況ではなく、商品もぐちゃぐちゃになっていた。


あの日俺が行ったコンビニは、いったい何だったのだろう?
 

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