

おい、なんか外騒がしくないか?
そう誰かが言い出したのは深夜3時を回った頃だった。話が大いに盛り上がりこの時間まで騒いでいたのだが、耳を澄ませると外から何やら人の声が聞こえる。どうやら自分たちの声で今まで聞こえていなかったようだ。外の声が何を話しているかまでは聞こえないが、気づいた時からずっと続いている。
外を誰かが話しながら歩いているということではなさそうだった。
そのことを不審に思った友人が、ちょっと見てくると立ち上がった。
思えばこの時止めていればよかったと思う。気味の悪いことなど放っておいた方が賢明だ。しかし、夜遅い時間で酒が回った状態では理性ある判断はできず、友人は誰に留められることもなく部屋の外へと出て行った。残された自分はやることもなく、ドアの外の音に耳を傾けながらスマホをいじっていた。
友人が外に出てから5分くらいが経過した。
しばらくしてから外の話し声は止んだのだが、また聞こえるようになっている。友人が声の人物と話し込んでいるのか、誰かが話すくぐもった声だけが聞こえていた。それにしたって戻ってこない友人が心配になりドアの近くまで行くと、扉の外からひときわ大きい声がかかった。聞き覚えがある。なんせ出て行った友人のものだったからだ。
おい、お前もこっち来いよ。ちょっと見に来いって。
なんだかやけに楽しそうな声音だった。夜中に一人で外に出ているというのに、不自然なくらい明るくしゃべっている。それになぜこのタイミングで声をかけてきたのか。なぜこちらがドアの近くに来たとわかったんだろう。自分の足音がしたとはいえドア越しで、しかも向こうは会話していたのだ。何やら不可思議な事態であった。気味の悪い状況に自分から外に出るのは少しためらわれたので、友人にまず部屋に戻って来いと声をかけることにした。だが、何やら反応がおかしい。
ずっと外に出て見に来るように呼び掛けてくるのだ。
こちらがどうしたとか、何をしているのかとか尋ねても、返ってくるのはこちらに来いと呼びかける声ばかり。
それに、声が友人のものしか聞こえてこない。友人は外から声が聞こえるから出て行ったはずだ。それにドアに近づくまでは複数の声が聞こえていたのに、今では聞こえない。他の誰かが気を利かせて黙っているのか、それにしたってここまで黙り続けるものなのか。
状況がおかしい気がしたので、友人には鍵は開いてるから早く戻ってくるように伝えて部屋に戻ることにした。その内戻ってくるだろうと思って数十分は起きて待っていたのだが、酒のせいで眠気がひどく、いつしか眠りに落ちていた。
目が覚めたときには日は登り切っていた。
昼も過ぎていて空腹だったので、何か買いに行こうかと友人に声をかけることにした。しかし友人の姿はなく、ドアのカギを見ると開いたままのようだった。友人はもしかしたらあの夜そのまま家に帰ったのかもしれない。自宅の鍵を開けっぱなしにされたのは不用心で怖気が走るが、自身も酔っていたからしようがない。しょうがないので一人で近くのコンビニまで出かけたのだが、その途中にある川に友人が浮かんでいるのを見つけた。
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